ひとたらしどうし

「……ゆずちゃんッ!!……」


瞬間を切り裂く、とは、こういう声のことなのだ。


思わず、納得せざる負えない、聞きなれた今までずっと聞きたかった声がした。


顎に直接的にかかる、重力などもう、どうでもいい。


たとえ逆らって、この顎が砕けてしまったとしても。


「……叶夢さん……ッ!!」


カラダをひねって、なんとか逃れようとするも、強い力で押さえつけられて身動きが、取れない。


「彼女にさわるな、離せ」


勢いのまま、近づいて私の手首に絡まる、片山さんの手を払った白石さん。


「汚い手で触るな」


崩れ落ちそうになる瞬間で、私を支えてくれた。