ひとたらしどうし

普段からいやに馴れ馴れしくて、食品工場だというのにいつも、甘い香水の香りを撒き散らしていて、苦手な相手だ。


現場で会っても、挨拶程度だから、こんなに近い距離は正直、気持ちが悪い。


なにか話しかけられているけれど、すべてのコトバが頭上を素通りしてゆく。


…と、ふいに私の左手に片山さんの手が触れたと思ったら、指と指の間に片山さんの指が入り込んできた。


俗にゆう、『恋人繋ぎ』で。


白石さんともまだ、したことがないのに。


反射で強く、その手を振り払った。


「やめてください!!」


鋭く放ったはずの自分のコトバは、か細く震えている。