ひとたらしどうし

「…おッ?!おぉう?!…み、実奈ちゃん、ちゃんと食べてるー?ほ、ほら!唐揚げ取ってあげるからッ!」


私たちのテーブルの上に乗った、繋がれた手と手を見た大輔くんが、テンパっている。


お皿に伸ばした手が、脇に置いてあった、お醤油指しに当たって、倒れてしまった。


「わッ!もうッ!大輔くん、なにやってるのー!」


動揺し過ぎだってば、もうっ!!


実奈ちゃんに、たしなめられている。


大輔くんも、もうちょっと、大人の風格を身に付けないと!!


実奈ちゃんにいわれた大輔くんは、


「はいはい、すみませんー」


頭に手をやっている。


誰もが、私たちの手に気がついているはずだけど、茶化すようなことはしない。


ここは、やさしい空間だ。