「そういえば、杏さんは音楽の
 先生目指しているんですよね。
 きっかけは何だったんですか?」

『きっかけは中学校の時にうちの
 学校で行われた音楽フェスに参加
 していたバンドに出会ったこと!
 彼らね、すごいんですよ。
 音楽が生きているみたいに聴こえる
 位一つ一つの音を大切に奏でてて、
 歌詞には誰でも持っている人間の
 闇や、その中に隠れている美しさ、
 普通の人なら書けないような曲を
 作っちゃうんです。』

「そう、なんだ…。」

『正直感動しちゃって泣いちゃった
 んです。こんなに音楽で人の心を
 動かされる、なんて素晴しいんだ
 ろうって。だから私はそんな音楽
 をいろんな人に教えていきたいんです!
 それが音楽の先生になろうと
 思ってきっかけですね。
 ってながながとすいません!』

「いや、とてもいい話を聞けて
 よかった。ありがとう。」

杏さんの話を聞いて僕は泣きそうになった。
嬉しくて嬉しくて。

僕がここにいる意味をしった気がした。
愛しい、愛しい。

ありがとう、僕の前に現われてくれて。

本当は夕方なんて早い時間に帰したく
ないんだよ。
本当は手つなぐだけじゃ足りないんだ。
この両腕で華奢な君の体を抱きしめたい。

離さないよ。

本当の自分を見せても、いいのかな?
僕のすべてを知ってほしい。
愛してほしい。