今日は日曜日。

元々予定もない。


朝起きてすぐに身支度を済ませたら、

明と明のお母さんが眠る、

中央病院へと向かう予定だ。




「あっちょっと待って、春希。」


母さんが俺を呼び止める。


「何? 母さん。」

「私、今日はお見舞い行けないの。だから、これ。」


母さんは、ピンク系統でまとめられた、可愛らしい花束を二束渡した。


「病室の花瓶に行けてきてくれない? きっと喜ぶと思うの。」

「……。あぁ、分かった。ありがとな。」


俺は、花束を両手に抱えながら、バスに乗り、病院へ向かった。





コンコンッ


「花織さん……、花織さん……。春希です。分かりますか? ……。」

「……。」


反応は無い。


俺は、そっとベットに近づくと、

花瓶の水を新しくし、

母さんが買ってきてくれた花を生けた。


よし、次は明の病室だ。



コンコンッ


「明? ……、明、明菜? ……。春希だよ。分かる? 」

「……。」


こちらも目覚めていない。


花瓶を手に取り、花を生ける。

ベットに近づいた時、明の顔を見てみた。

笑ってもなく。

悲しんでもなく。

苦しそうでもなく。

明はただただ、安らかに眠っていた。