「松谷さん……。明菜ちゃん……。」



母さんは、意識不明の二人を見て、何も言えない様子だ。



「………。明………。」



俺だってそうだ。

何も言えやしない。



大切な人が、その親が。

今こんな状態で。


まだ実感が湧かない。

ふわふわしている。



これが夢だったら、

幻だったら、

どんなによかっただろう。


ーー






家に帰った。


自分の部屋に入った。


すかさず、泣いた。





明は……、


明菜は……、


俺の、幼馴染だった。


そして、二週間前、


俺の、恋人になった。


誰よりも、大切で。


誰よりも、離したくなくて。




俺は、泣いた。