「まだ相変わらず暑いけれど、朝晩はだいぶ涼しくなったね〜〜。」

「そうだね、お母さん。」



サァーっと流れる涼しい秋風を感じながら、私は車に揺られる。


この辺りは人通りが少なく、煩いバイクもゴツいトラックも走らない。

だから、こうして窓を開けてドライブするのも悪くない。



「あれっなんかいつもより機嫌いいじゃん。何か良い事でもあった? あぁ、そういえば……、」



お母さんは、私のちょっとした声のトーンの違いで、私の気持ちをある程度推測できる。

世の親も、そんな感じなんだろうか。



「文化祭、もうすぐだったね。」

「そう! すっごい楽しみ‼︎ 春くんと一緒に回る約束もしたんだ〜〜! 」

「そう、よかったじゃん! あんたたち、ラブラブだね〜〜。」

「何ニヤニヤしてんの、お母さん!// 」


ーー






何気ない、会話。





「‼︎⁉︎‼︎⁉︎ お母さん‼︎ 右! 右見て‼︎ 」





何気ない、日常。





「キキィーーー〜‼︎‼︎‼︎ーーーー〜!! 」





何気ない、当たり前。



それに溺れていたんだ。



きっと。


ーー