ファビオラは間近にあるマスクウェルの顔をチラリと見る。
相変わらず美しいのだが、それは今は置いておいて大切なことがあるのではないだろうか。
しかし彼の顔がどんどんと近づいてくる。
全身の毛穴から吹き出す汗、飛び出しそうな心臓をおさえていた。
「それはですね……えーっと、えっと!」
「君の気持ちと何故僕と別れるつもりでいるのか聞くまで、今日は絶対に帰さないから」
「ぐっ!」
「なに?」
「刺激が強くて……好きだなぁと」
「……。僕のこと好きだというわりには余所見ばかりして」
何故かめちゃくちゃ怒っているマスクウェルにゴクリと鳴る喉。
至近距離にいるマスクウェルに耐えられずに、ファビオラの体から力が抜けてしまう。
マスクウェルはファビオラの腰に腕を回して、もう片方の腕を掴んでいる。
更にマスクウェルと距離が近い。
「わ、わっわたくし、余所見なんてしていませんからぁあぁ!この世界に来てから、マスクウェル殿下一筋ですっ」
「ふーん。でも僕はトレイヴォンと街で買い物しているのを見た。仲睦まじく寄り添っていたぞ?」
「あっ……!それは」
「それは……?」
「マスクウェル殿下のドレスに似合う髪飾りを探していたんです!」
そう言ってファビオラが顔を赤くすると、マスクウェルはその表情を見て目を見開いている。



