ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜

マスクウェルも半年の間に何か心境の変化があったのだろうか。
こうしてファビオラに笑顔を向けてくれるのだが、それでも倒れずにすむのはエマとの訓練があったからだ。

(ここの空気が美味しいわ……マスクウェル殿下、かっこいい)

二人で当たり障りのない話題で談笑していた。

会場に着いてマスクウェルのエスコートで馬車から降りる。
会場に向かって歩いていく最中、妙に視線を感じていた。

(さすがマスクウェル殿下だわ。あまりの美しさに注目が集まっているのね!)

実際はファビオラの洗練された美しさに見惚れている人達が大勢いたのだが本人は気づくことはない。

(なんでかしら……わたくしに何かおかしいところが!?エマは大丈夫だって言っていたけど)

ファビオラが不安になっていると、マスクウェルがそっと顔を覗き込む。


「ファビオラ、大丈夫?」


フォビオラは暫く目を見開いて固まった後に、コクコクと首を動かした。
マスクウェルがさりげなくファビオラの名前を呼んで心配してくれる。
それだけでも天にも昇る心地だ。

社交界ではファビオラとマスクウェルの不仲説が流れていたが、それを一瞬で払拭していったとも知らずにファビオラはマスクウェルとパーティーを楽しんでいた。

(まるで本物の婚約者同士みたい……)