ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜

思い込みから一気に尻込みしてしまい、エマから借りたナイフホルダーの中に忍ばせているプレゼントは渡せそうにない。

(そもそも受け取ってくれるのかしら……迷惑って言われたら立ち直れないわ!エマァアァッ、助けてぇ)

なんとなく気まずくなり、ソワソワして当たり障りない話題を出した。


「久しぶりのパーティーだから緊張してしまいます。それに……」


マスクウェルがカッコよすぎるから隣に並んだら気絶してしまうかもしれない、とは言えずにファビオラへ口を閉じる。
今日はイメージ回復を目指しているのに絶対にマスクウェルの前で失敗したくないという焦りからか指が震えていた。


「緊張する必要はない。僕が隣にいるのだから」


そう言ってファビオラに視線を送る頼もしいマスクウェルに心臓を撃ち抜かれたファビオラは意識を持っていかれる寸前だった。
白目にならなかった自分を褒めてあげたい。
何故こんなにも彼は尊いのか……思考停止中である。
表向きの顔でいたかと思いきや、途端に裏向きの顔で攻めてる。
油断も隙もないとはこのことである。

なんとか堪えたファビオラはマスクウェルに笑顔を返した。

(あっぶねえぇぇぇ……!もう少しで魂持っていかれるところだったわ)

なんとなくではあるが、また以前のように突き放されるのだと思っていた。
それなのに甘い雰囲気に戸惑っている。