ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜


エマに助けを求めようと振り返ろうとするが、腕を掴まれて引き寄せられてしまう。


「行こう」

「は、はい……」!


抱きしめられるようにして、マスクウェルにエスコートを受けていた。
マスクウェルに触れられている部分が熱をもつ。
ファビオラは気絶寸前なのにも関わらずに、マスクウェルはにこやかに微笑んで涼しい顔である。
馬車に乗り、二人きりの空間になるとファビオラはギュッと膝で手を握った。
この高揚感と緊張感は感じたことがない。

(汗かいちゃいそう……)

ファビオラはチラリとマスクウェルを盗み見る。


「顔が赤いな。窓を開けようか」

「はい、ありがとうございます。マスクウェル殿下」


マスクウェルはファビオラの変化に敏感に勘付いてくれたようだ。
涼しい風が隙間から吹き込んでホッと息を吐き出した。
まるで熱に浮かされているようだ。
コルセットも相まってむず痒い。
意識を逸らそうと、マスクウェルに話を振った。


「ドレス、ありがとうございます。どうでしょうか?」

「…………」

「頑張って似合うように努力したんですよ?」

「…………」

「あの……マスクウェル殿下?」