ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜


しかしエマがこれだけファビオラを特訓して頑張ってくれたのだ。
それにマスクウェルが贈ってくれたドレスを着て恥ずかしい姿を見せるわけにはいかない。

(訓練の成果を見せるのよ!平常心で神を、マスクウェル殿下を迎え打つ!行くのよ、ファビオラ・ブラックッ……!)

ファビオラはエマに呼ばれて振り返る。
どうやらマスクウェルが迎えにきたことを知らせに来てくれたようだ。
スイッチを切り替えたファビオラはフッと息を吐き出してから足を進めた。

玄関の前に笑顔で立っていたのは半年振りのマスクウェルだった。
天使のように可愛らしい見た目は成長と共にレベルアップして神になった。
相変わらずの美しさだが、今日は正装しているからか大人びて見える。
いつもある前髪を今日は上げているからかもしれないが、優しい笑顔を向けられて心臓が大きく跳ねた。
すっかりと可愛らしさは消えて、かっこよく男性らしくなったマスクウェルに魅入られたように動けなかった。

(いつもと雰囲気が全然違う……)

エスコートするために伸ばされたマスクウェルの手を掴む。
半年前より高くなった背。
骨ばった手の感触に異性として意識するには十分だ。
重たくて甘い香水の香りにファビオラはクラリと目眩を感じた。
マスクウェルのカッコよすぎる姿に頬が赤くなる。