ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜

(トレイヴォンside)



そう言ったファビオラは背を向けて去って行く。
トレイヴォンは近くにあった椅子に腰掛けながら待っていた。

店員と仲良さげに話しながら、こちらを指差している。
恐らく「プレゼントで今つけたい」と話しているのだろう。
「パートナーですか?」とでも言われたのだろう。
「違いますよ。友達です」と言って話す声がここまで聞こえてくる。
その後に否定するように手を横に振りながらファビオラは笑っている。

(……友達、か)

ファビオラがダイヤ邸を尋ねてきた日のことを今でも覚えている。
我儘で手がつけられないと噂のブラック伯爵家の令嬢、ファビオラの話はトレイヴォンも聞いたことがある。
そんなファビオラが珍しくに訪ねてきたかと思えば「殺さないでぇえぇ」と訳のわからないことを言い出して号泣した時には、さすがにどうしようかと思った。

今後どうすればいいか相談を受けたトレイヴォンはとりあえず、他の令嬢達のようにマナーを会得することをすすめる。

まさかとは思ったが、アドバイス通りにすごい勢いでマナーや勉学に励み始めたのには驚いた。
その必死さはこちらが心配になるほどだった。
そして無理が祟り、高熱を出した際にトレイヴォンが責任を感じてお見舞いに行くと「悪役令嬢にならない」「断罪断固拒否」と次々に訳の分からない言葉を発していた。