ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜

「なら、今から街に行きましょう!」

「はぁ!?」

「エマ、街娘風にお願い!」

「かしこまりました」


そうして予定通りにトレイヴォンと共に街に出かけることになった。
馬車の中でいつものように話していた。
隣にはエマが限りなく空気を薄くして座っている。


「さっきのドレスに合う髪飾りを探しに行こうと思うの!レイ、さっきわたくしのドレス姿を見たでしょう?マスクウェル殿下のドレスに合う髪飾りを選んでちょうだい!」

「マスクウェル殿下、マスクウェル殿下って、よく飽きないな」

「全然……!むしろ年々、好きが増していくの。不思議よねぇ」

「ふーん」

「どれだけ嫌われたって少しの希望に縋りたくなってしまう。たとえ自分が散るとわかっていても、最後まで側にいたい……まぁ、レイにはわからないかもしれないけど」

「いいや……わかる」

「え……?」


今日のトレイヴォンはいつになく大人っぽく思えた。
眉を寄せて困ったように笑ったトレイヴォンの笑みを見て、呆然としていると御者から声が掛かる。


「ビオラ、そろそろ行くぞ」

「…………」

「マスクウェル殿下のために頑張るんだろう?」

「も、もちろんよ!」