ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜

何故か般若のように恐ろしい顔をしたエマの手のひらがファビオラの頭をがっしりと掴んでいて身動きがとれない。
ファビオラはあまりの恐怖に小さく首を縦に振りながら返事をする。

どうやらエマはここ数日、ファビオラがろくにご飯を食べずに泣いていたことが心底、許せないようだ。
まずはエマの言う通りにしようとミルクリゾットを食べて、入浴をしてから身なりを整える。

そして次の日から父と母に用意してもらった講師達に厳しいレッスンをしてもらおうと思ったが、この三年間で王妃教育も終わっていたため「教えることはもうありません」と言われてしまい、あまり意味をなさなかった。

けれど何かが足りない。
今後、これ以上嫌われないために必要なことは何かを考える。
そして思いついたのはエマとの特別訓練である。
画家に描いてもらったマスクウェルを前にデレデレしない訓練……つまりは彼の前で表情を取り繕う訓練を始めたのだった。

(これもマスクウェル殿下のため……っ!)

今、椅子の前にはマスクウェルのリアルな肖像画の顔を切り取った仮面を付けているエマがいる。


「じ、準備できたわ……!」

「いきますよ?」

「はぁ……今度こそ!絶対大丈夫なんだからっ」

「…………ファビオラ」

「うぐっ……!」

「ファビオラ」

「~~~っ、はい!ありがとうございますっ」