「どうしようぅうぅ、やっちゃったあああぁ!マスクウェル殿下の前でッ、マスクウェル殿下の前でぇぇっ」
「落ち着いて下さい、ファビオラお嬢様。マクスウェル殿下は……」
「うわあぁん!エマァァァッ!エマァアアァァッ」
「……うるさいです。お嬢様」
「クールゥウゥッ、でも好きぃ」
布を持ってきたエマに抱き着きながらファビオラはワンワンと失敗を嘆いていた。
砂糖たっぷり紅茶を吹き出したかと思いきや、失態を晒した挙句、本人の前で悩み相談をしてしまったようだ。
「絶対に嫌われたぁあぁっ!もう嫌われているけど好感度は地の底よ!もう無理なのよぉぁぁ」
「……ファビオラお嬢様」
鼻水がエマのエプロンと鼻を繋ぐのを軽蔑の眼差しで見ているエマを気にすることなく泣き続けて数十分。
溜息を吐いたエマが珍しく「大丈夫ですよ」とデレてくれて落ち着くまでファビオラを抱きしめてくれた。
ファビオラがやっと落ち着いて、叫び過ぎて声がガサガサになった後……カチャカチャと微かに食器が擦れる音。
少し冷めた紅茶を目の前に出されて肩を揺らしていた。
紅茶に映る顔は涙でぐちゃぐちゃだった。



