ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜

(……き、嫌われたあああぁあっ!)

そう思い、心の中で絶望していた時だった。


「ふっ……」

「…………え?」

「ふっ、あははっ……!」

「???」


何故か大爆笑するマスクウェルの姿を見ながら、ファビオラは呆然としていた。
エマがその隙を見計らって新しい紅茶を淹れて、砂糖を二つカップの中に入れてテーブルから砂糖瓶を持ってから去っていく。
恐らく、ファビオラが同じ過ちを繰り返さないためだろう。

マスクウェルはテーブルに顔を伏せて震えながらバシバシと足を叩いている。
困り果ててエマに視線を移すが、やはり何も反応を返してはくれない……クールである。


「あ、あの……マスクウェル殿下?」

「ふふっ、……はぁ」


両腕で腹を押さえるマスクウェルを見ながら恐る恐る声を掛ける。
荒く息を吐き出しながら涙を拭う姿を見て、不覚にも心臓が高鳴っていた。

ファビオラの前で無表情を崩さなかったマスクウェルの笑顔を必死で目に焼き付けていた。
けれどすぐにいつもの表情に戻ってしまい「何見てんだよ」と言いたげな鋭い視線がチクチクと刺さる。