ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜

惚れ惚れする身のこなしを見ながら、心の中で拍手していた。

しかし、今はそれどころではないと気付いた瞬間……ファビオラに恐怖が襲う。
チラリとマスクウェルに視線を送ると、そこには…………大きな目を見開いたまま固まる彼の姿があった。
今までにない大失敗に震えが止まらない。

(……わ、わたくし絶対にマスクウェル殿下に嫌われたわ。もう会ってくれないかもしれないっ!やばいやばいやばいやばいやばいッ!)

様々な非難の言葉が脳内に浮かぶ。
マスクウェルとの幸せな時間に浸っていた。
無意識に砂糖を入れ過ぎて紅茶を噴き出す令嬢などこの世界にいるはずがない。

(……ど、どうする?どうする!?考えなさい、ファビオラ!)

何か言わなければと必死に言い訳を探すけれど見つからない。


「あ、あの……さ、さ、砂糖がっ!甘くて、びっくりしてしまいっ」

「…………」

「いつの間にか、カップにいっぱいになっていたんですっ……だから、つい!」


いい言い訳を思いつかないまま瞳を右往左往に動かしながら必死に言い訳をしていた。
しかしマスクウェルは片手を口元に当てて、スッと顔を背けてしまった。