相変わらず塩対応なマスクウェルは嫌々ながらも、何故かブラック邸に足を運んでくれている。
(きっとわたくしが婚約者だから気を遣ってくれているのね……!それか周りの目が気になるのかしら?)
最近では以前よりもずっと長くブラック邸に留まってくれるようになった。
とはいっても、マスクウェルは一方的に話すファビオラの話を不機嫌そうに聞いているだけ。
しかもマスクウェルは「あまっていたから」とお菓子を持ってきてくれたり「たまたま見つけたから」とドレスを持ってきてくれたりと、神に感謝するほどに嬉しいことがたくさんあったのだが、長くなりそうなのでここでは割愛させていただこう。
ファビオラはというとマスクウェルを見ているだけで幸せが止まらないのだが、一度聞いたことがあった。
「マスクウェル殿下はどうしてわたくしに会いに来てくれるのですか?」
「は…………?」
「理由が知りたいなぁ、と思いまして」
「婚約者だからだろう。それ以外に会う理由があるのか?」
低くて怖い声で言われてしまえば、ファビオラは苦笑いしながら頷くしかなかった。
最近、少し仲良くなれた気がしていたが、やはり気のせいだったようだ。
マスクウェルはファビオラを嫌っている。
その考えはいくらファビオラが変化したとしても変わらないのだろう。



