「あー、うん。オレにできることは協力してやりたいけど、誰に向けて書いてるかも分かんないから大きく書かせてやることくらいしか…って、えっ……?」
まだ冷たさの残る私の指先が、トンっと滝沢くんの胸に当たる。
俯いたままで、顔なんて見れないけど
これだけ近かったら、届くんじゃないかって。
「お、オレ!?」
もう、足に力はいんないよ…
滝沢くんびっくりしたかな、困ったかな。
また暖かい手の平に包まれる私の冷たい指先。
教室の中はずいぶん冷えて来て、賑やかだったグラウンドも次第に静かになっていった。
「あー…あのさ、オレ原田がいつもここからグラウンド眺めてたの知ってたよ。何見てるか分かんなかったけど、なんとなくそれでオレも練習張り切っちゃってさ」
ぎゅっと握られてる人さし指で
ドキドキして逃げそうになる私は、もうそこから離れることもできない。
「冬になって窓が白くなって。原田がいつも何か書いてるのも知ってたんだよね。それで原田が帰った後とかに教室行くんだけど、その頃には窓もすっかり冷えちゃっててさ。こんな感じ」
滝沢くんが窓の方に目を向けると、そこにはもう暗く沈み始めた空が見える。
白く曇ってた窓も、下がった気温のせいでほとんど透明に戻ってて。
「でも知ってた?一度書いた文字ってさ、もう一度息を吹きかければ冷えた後でも見られんの」
そう言いながら、キュッキュと窓にラインを書く滝沢くん。
そして、ハァ〜っと窓に吐き出された白い息。

