*クモリガラス*



いきなり私の腕を掴んだ滝沢くん。

まだしゃがみ込んでる私を見下ろしながら、ニコッと優しく笑ってた。



な、なんでしょう…



「じゃあオレ手伝うわ」


「へ?」


「誰に向かってんのか知らねーけど、原田の気持ち伝わるようにオレが手伝ってやる」



そう言って滝沢くんは、内履きを脱いで机の上に乗った。

なんか、すごく勘違い…



滝沢くんに引っ張られて、一緒に机の上に登る私。

滝沢くんの隣で眺めるグラウンドは、いつもと全然違ってて

走り回るサッカー部の子たちが、もっと小さく見える気がして。




「支えててやるからでっかく書けよ。じゃないとこの先ずっと伝わらねーぞ?」


「え…あのぉ〜」



今さら引きようがなくなって、私は滝沢くんに背中を支えられたまま高伸びで手を伸ばした。

上の方の空気はもうずいぶん冷え始めていて、私は消えかけてくクモリガラスに震えながら大きく文字を書く。



『大好き』



背中に感じる温もりと、隣で笑う滝沢くんにドキドキしながら

冷えきった指と反対に、顔はどんどん熱くなる。