*クモリガラス*




遠くから聞こえるのは、サッカー部の練習を終える笛の音。



「なんか今日ってすっげー寒いよな〜」


「…うん」



滝沢くん、何しに来たんだろ…

練習終わっちゃったよ?



ただ二人窓の前に並んで。



そっか…もしかしてこれは、神様がくれたチャンスなのかな。

卒業の前に、
私にくれた最後の時間。



「滝沢くん…」


「ん?」



今逃げたら、きっともう伝えられる日なんて来ないんだ。

私はちょっと寒さで震える手を袖の中に入れながら、合わせられない視線を窓の外に向けて深呼吸した。



私と滝沢くんは似てないかもしれないけど、それでも惹かれちゃったんだもん。

全然違うからこそ、どんなことを考えてるんだろうってドキドキして。

何が好きなんだろうって、興味を持って。


いっぱいいっぱい、知りたくて。




「あのね…あの…私ね、いつもここからグラウンドを見てたの」


「うん」



真剣に相づちを打ってくれる滝沢くんに、目を開けてるのもやっとの状態。



「それでね、窓が白くなるといつもそこに小さくスキって書いてたの」


「やっぱり」


「えっ…?」


「いや、オレ視力いいから。なんとなくそう書いてるように見えた」



思わぬ返しで
次の言葉に戸惑った。




「え、えっと…それで…本当は伝えたいのに勇気がなくて…なんていうか…」


「よし!」


「……??」