君と一番の恋をする

「というかあれでクラリネット壊れちゃって、お小遣い前借りして修理代払ったから今私の全財産300円なんだよねー……」
「小学生男子くらい貧しいですね」
「うっ、思い出すと、心の傷が……でも今月からはちゃんともらえるし……」


私は蛙の手を崩して胸に膝を抱える。
そういえば時間はあまり経ってないはずなのに、もうあたりは真っ暗だ。空には、きれいな星が瞬いている。
……でも、陸人くんがいてくれてよかった。屋上に一人で閉じ込められたりなんかしたら、柄にもなく泣いてしまうだろうから。それに、少しだけ仲良くなれた気がする。
まあこんなの、陸人くんにしてみれば災難でしかないだろうけど。

……もう、どのくらい経ったんだろうか。
そういえば、ちょっと寒いかも。
初秋だからって油断してシャツ一枚だけになんてしなきゃよかったかなぁ。

私は寒さを紛らわすように両腕を手でさする。


「……寒いですか。先輩」
「え?」


声のした方を向くと、意外にも陸人くんが近くにいてびっくりした。
まあ、寒いと言えば寒いけど……。本当のことを言ったらきっと心配させてしまうだろう。