君と一番の恋をする

「でも、なれると思う。長期戦の喧嘩だったと思えば。……なんていうのは、楽観的過ぎかな」

「そんなことないよ。そういうのが案外、解決の糸口になったりするもんだし!」

「そうだね」



初秋のあの日、奏太くんが部長だと発表された日の不安が、嘘みたいに無くなってる。

これからまた、友達としてやり直せるんだって思うとうれしいんだ。


私の家の前までついて、奏太くんにお礼を言う。



「じゃあまたね」

「うん、またね」



三軒先にある家へ向かって歩いていくその背中を、私は手を振って見送る。

……話し合うことが大切、か。

頭に浮かぶのは、陸人くんの顔。


ちゃんと、話し合ってみるべきだろうか。……本人の気持ちは本人に聞くべきだと、私も分かっている。だけど、分かりきっているのに聞くのはどうしても怖い。

そのとき、ドアがガチャリと開いた。



「あ、いた。お姉ちゃん、帰ってるなら早く家入りなよ、寒いんだし。お母さん心配してるよ」



もこもこのパジャマから伸びる長くて細い手足。芸能人顔負けのきれいな顔。頭も運動神経もよくて、きっと神様が丁寧に作り上げたであろうその姿。

......勝てるところなんて、ないよね。勝ち負けとかそれだけじゃないって分かってても、やっぱり比べてしまう。



「入らないなら閉めていい?」

「あっ、まってっ、まーほ!」



私は追いかけられるように急いで家の中へ入った。