「寝れねーの?」

「……起きちゃった」

「そう」


 また黙りこくる千歳。いい加減くっついてるところが熱くなってきてそろそろ限界がきそうだ。でも俺から離れたらまずそうな気がするし、一応心配ではある。なにげない感じを意識して声をかける。


「……なんかあったの?」


 千歳はちょっと止まってから小刻みにうなずいた。


「サークル? バイト?」


 ゆるく首をふる。どっちも違うみたいだ。


「親とか?」


 あ、別に聞いてほしいやつじゃなかったかな。


「いいや、言いたくないなら」


 ――……あ。


「……俺?」



「………………チガウ」



 俺だーーー!

 どれのことだ!? 心当たりある、けど!!

 先週誘われたデートとやらを断ったから? ……でもホントに用事あったし。一昨日ひっぺがすときの力強かったとか? 夏休みだから毎日会えてるわけじゃないし、最近サークル帰りいっしょに帰ってないし……そもそも告白テキトーに流してるのがダメ? もしかして髪変わったの気づいてないとか? ……いや、変わってないよな。やばいヘンな汗でてきた……ていうかなんで元凶に泣きつくんだよ、意味わかんね。