◇ ◇ ◇
「明日でいいだろぉ……」
となりの家の玄関につくなり、そっとドアから顔をのぞかせた千歳をみると、呆れた声が出た。
「……うん」
なんとなく察してはいたけどいつもの勢いはなくて、のろのろとポーチに出てきた千歳はそのまま止まらずに、ぽす、と抱きついてきた。
「わ、なに」
抗議しつつも、こういうとき聞こえるはずの「えへ」だか「ふへ」みたいな変な声もしないし、様子見でされるがままにしておく。
「……暑いんだけど」
尺稼ぎにぼやいても千歳は黙ったまま。規則正しく動いている背中をみると、泣いてはないみたいだけど。
だんだん沈黙にたえられなくなってきて大げさに一息ついて口を開く。
「……具合悪い?」
あ、声間違えた。なんかこれだと詰めてるみたいだ。もうちょっとやさしく――……脳内反省会がはじまったのをさえぎるように、俺の肩に顔をうずめたままの千歳が首をふる。ちょっとほっとして仕切りなおす。
「明日でいいだろぉ……」
となりの家の玄関につくなり、そっとドアから顔をのぞかせた千歳をみると、呆れた声が出た。
「……うん」
なんとなく察してはいたけどいつもの勢いはなくて、のろのろとポーチに出てきた千歳はそのまま止まらずに、ぽす、と抱きついてきた。
「わ、なに」
抗議しつつも、こういうとき聞こえるはずの「えへ」だか「ふへ」みたいな変な声もしないし、様子見でされるがままにしておく。
「……暑いんだけど」
尺稼ぎにぼやいても千歳は黙ったまま。規則正しく動いている背中をみると、泣いてはないみたいだけど。
だんだん沈黙にたえられなくなってきて大げさに一息ついて口を開く。
「……具合悪い?」
あ、声間違えた。なんかこれだと詰めてるみたいだ。もうちょっとやさしく――……脳内反省会がはじまったのをさえぎるように、俺の肩に顔をうずめたままの千歳が首をふる。ちょっとほっとして仕切りなおす。