◇  ◇  ◇


 夢の中だからか、自然とどこに向かえばいいかがわかって、足の感覚もないけど進んでいく。体が軽い。
 毒々しい色とマーブル模様の森?みたいなのを抜けて、現代美術みたいなパースが狂った建物が天井からたくさん生えている街に出た。

 すい、と目が吸い寄せられた先で、よく知っている背中が揺れている。

 浅黄くんだ……! 寝てるときまで会えるなんてうれしい……! 黒い服着てる! 現実の浅黄くん、服は白系が好きだもんね! さかさまだ! わたしにめろめろモード確定!

 にやけそうなのをおさえて、どうやって声かけようかな、とそわそわしながら前髪を整える。わたし、今パジャマだからちょっと残念。かわいい服で登場したかったな。いや無防備なほうがむしろイイっていうし……。なんでもいっか、こっちの浅黄くんはわたしにベタ惚れだからネ!!!!


「佐々木さん、やめよう。もう帰ろう」


 遅れてきた小野寺くんがわたしの肩をつかんだ。


「なんでじゃまするの~。さかさまならわたしの味方してよー」

「……してる、けど」


 なんだか言いにくそうにしている小野寺くん。