そっぽむいて桃味をかきこむ浅黄くんが手首にぶらさげているコンビニ袋がゆれて、目がいった。
 ……ノンシュガーのモンスターが2本。


「エナドリ……早死にするよ〜」

「……別にイッキするわけじゃないし、ただの買いだめ」

「毎日のんじゃだめだよー」

「お前こそかーちゃんみたい」

「もー。ハタチなったら止めないけど、お酒とかたばことか心配〜。浅黄くんぜったい嗜好品によわいでしょ」

「なんじゃそりゃ」

「ちゃんと摂生して長生きしてよー。フツーに考えたらタメなんだから、浅黄くんのほうがはやく死んじゃうんだからね」

「そんなになる前にお前とは疎遠になる予定だから」

「むりだね〜わかってるくせにー」


 かるく腕をまわすとベリッとひっぺがされた。けど、気にしないで抱きつく。


「ほんとに気をつけてね。ひとりで置いてかれるのやだからね。浅黄くんがいないのはだめだから。絶対わたしが先。死ぬときはそばにいてね。手とかにぎって」


 浅黄くんは何も言わないし、スプーンもとまっている。しん、としたままで店内の喧騒がかすかに聞こえる。そのまま、しばらくするとカップを伝った水滴がわたしの足に落ちた。