◇ ◇ ◇
「浅黄くん、いまかえるとこ?」
本館をでたところで、雨音にまじって聞きなれた声がした。
かるい衝撃といっしょにまわされた腕をひっぺがしながらふりかえると、予想通り千歳がたっている。
「急に抱きつくなよ……」
つとめてめんどくさそうな顔をつくると、「えー」と千歳が不満げにかえしてくる。
授業終わったらさっさと帰るべきだった。いや、裏門からにすべきだったか。でもコイツどこにでもあらわれるからな……。
苦々しく思いながら千歳を見おろす。家が隣どうしで幼稚園からいっしょの幼なじみのコイツは、ヒマがあれば「すき」だの「つきあって」だの言ってきて、何回ことわってもしつこく迫ってくる。大学も同じになってしまい、おまけに学科までいっしょの始末だ。
「浅黄くん、いまかえるとこ?」
本館をでたところで、雨音にまじって聞きなれた声がした。
かるい衝撃といっしょにまわされた腕をひっぺがしながらふりかえると、予想通り千歳がたっている。
「急に抱きつくなよ……」
つとめてめんどくさそうな顔をつくると、「えー」と千歳が不満げにかえしてくる。
授業終わったらさっさと帰るべきだった。いや、裏門からにすべきだったか。でもコイツどこにでもあらわれるからな……。
苦々しく思いながら千歳を見おろす。家が隣どうしで幼稚園からいっしょの幼なじみのコイツは、ヒマがあれば「すき」だの「つきあって」だの言ってきて、何回ことわってもしつこく迫ってくる。大学も同じになってしまい、おまけに学科までいっしょの始末だ。