interlude ――――幕間/間奏

つぎのおはなしがはじまるまえの
ふたりのおはなし


  ◇  ◇  ◇


 千歳とふたり、つめたいレンガのタイルにもたれて、狭いくぼみのなかで、できてないけど雨宿りしている。タオルをたたみながら千歳が言った。


「プールいくんだよね?」

「うん」


 また雨粒がおおきくなってくる気配がする。


「……傘、裏からとってくる」

「……おいてく気でしょ」


 千歳はすっかりいつもの調子になって、拗ねたような、冗談めかすような口ぶりだ。
 今さっきした仕打ちを考えるとしょうがないけど、そんなひどいやつみたいな言い方をされて苦笑いしてしまう。


「するわけねーだろ……」

「そーかなぁ~。逃げないようにいっしょに行こうかなー」

「いいって!」


 ちょっとムキになって言い返して、また俺だけ勝手に気まずい気分。


「……泣かせちゃったし……ここで待ってれば」


 うまくやさしく言えなくて、ただつぶやくだけみたいになって落ちつかない。


「気にしなくていーよ、そのまま裏からいこう?」

「……」