「お姉さん系がいいんでしょ? さっきみた? わたしの外巻き。かわいかった?」

「……みてない」


 ならなくていーし、とつぶやいて、それが聞こえないようにガシガシ手の力をつよくした。


「いーたーいー!」


 笑いながら千歳がタオルから顔を出した。
 瞬間、ふわっと知ってるにおいにつつまれる。


「……」


 も~ぐちゃぐちゃ~、とか言いながら手ぐしで髪をすく千歳をさりげなく見つめる。
 へらっと急にこっちを見た千歳の視線からにげるように、レンガのタイルに目をうつした。


「……お前ってさー、なんかつけてんの?」

「なんかって?」

「……なんでもない」


+ the End? +