えへ、と変な声をだして千歳が顔をあげた。泣き笑いしてるし、にやにやしてるしひでぇ顔。腹立つな。


「……ッだからってお前のことがすきなわけないからな」


 せっかく釘を刺したタイミングで、ぶぇくしょい、と千歳がくしゃみをした。
 いつの間にか雨は霧雨に変わっていて、細かい雨粒でふたりとも髪や肩がびちょびちょになっている。
 あんまり意味はなさそうだけど、プール用のタオルをひっぱりだした。


「ほら、ふいてやるから」


 タオルですっぽり包んでやる。身をあずけてくる千歳の髪をぽんぽんたたきながら、テキトーに話す。


「髪、巻いたの?」

「んー、でもほとんど取れちゃったね……」

「あんましないのに」

「雨だし、どうせ広がるから……あと」


 そこで千歳がちょっと笑った。


「小野寺くんから情報を入手しまして」


 ぴた、と手がとまる。