「な、んで泣くんだよ」


 目の前には、ぼろぼろ涙を流す千歳の姿。
 なんで、と言いつつ俺のせいなのはわかってるけど……。
 千歳は、えぐえぐ言いながら口をひらいた。


「浅黄くんとじゃないと、とくべつじゃない……っ」


 さっきまでの苦しさとは別で、胸がきゅ、とする感じがした。


「……っかんちがいさせたならもうしない、から。軽いやつなんて言わないで」


 千歳はそのまま「ほんとにすきなのにぃぃ」とわんわん泣いて抱きついてきた。


「……ッわかってる。ほんとに軽いなんて思ってるわけないだろ。あんだけしつこいのに……」


 いつもはしないけど、腕をまわしてやる。


「……さっき言ったの全部わすれていーから。別に、ほかのやつに気ぃ使うの、やめなくていい。お前のそういうとこなくなるの、いやだし」


 「それに」と続ける俺の胸から顔をあげた千歳と目があう。もう涙はひっこんでるけど泣き顔だ。


「先週のことあやまりたい」