「だめってなんで? お前に指図されなきゃいけないの? お前以外のやつと関わるなってこと?」


 やば、思ったよりひくい声でた。千歳の肩がピク、とゆれるのが目にはいったけど、口をつく言葉がコントロールできない。


「ただとなりの家に住んでただけのくせに、やることなすこと全部に口出すなよ」


 千歳が無言でうなづくのが視界のはしに映る。


「俺、お前がいやがることこれからバンバンするし、はやく嫌いになれば?」


 もう、千歳の顔を見てられなくて全然別のほうを向いていたけど、「……むり」とちいさい声だけ耳にはいる。
 はーっとため息がでた。


「……すきっていうわりに肝心な俺の気持ちは?」


 今度こそ千歳は黙ったまま。


「わがまますぎるだろ、まじでガキ」


 別に。ほんとのことだ。千歳がわるい。
 けどそう言ったあと、俺は逃げるように本館を飛びだした。