◇ ◇ ◇
「浅黄くん合コンいったの!?」
「行った」
本館の階段のしたで待ちかまえていた千歳につかまった。
たぶん小野寺から話を聞き出したんだろう。行くまえにバレると絶対じゃまされただろうけど、行ったらこっちのもん。事実はどうであれ、千歳離れをすすめているのを本人にも知っておいてもらわねーと。
「浮気だぁ……っ!」
「浮気じゃねーだろ、そもそも付き合ってねーし!」
「なんでいくの~合コン~ひど~い」
「ひどくない! 彼女ほしいっつっただろ! なんでこんなこと大声で言わなきゃいけねんだよ……」
「わたしとつきあってよぉ」
「お前以外がいいの!」
「いじわる~! もうきらい!」
「やった!」
「やだぁ~すきぃ~」
「ッやっめろ、ひっつくな! シャツのびるって!」
ぎゅ、と千歳がシャツをくっちゃくちゃににぎりしめて泣きついてくる。けど、次の瞬間、俺のリュックの傘を目ざとくみつけて「これ……」と手をのばして真顔になった。嘘泣きじゃねーか。
右ななめの子の傘。めちゃくちゃかわいい系の柄とかではないと思うけど、たしかに一目みたら女子の傘だとわかると思う。ていうか、千歳なら気づく。
「浅黄くんにオンナのカゲが!」とか言ってとっととあきらめろ!
「浅黄くん合コンいったの!?」
「行った」
本館の階段のしたで待ちかまえていた千歳につかまった。
たぶん小野寺から話を聞き出したんだろう。行くまえにバレると絶対じゃまされただろうけど、行ったらこっちのもん。事実はどうであれ、千歳離れをすすめているのを本人にも知っておいてもらわねーと。
「浮気だぁ……っ!」
「浮気じゃねーだろ、そもそも付き合ってねーし!」
「なんでいくの~合コン~ひど~い」
「ひどくない! 彼女ほしいっつっただろ! なんでこんなこと大声で言わなきゃいけねんだよ……」
「わたしとつきあってよぉ」
「お前以外がいいの!」
「いじわる~! もうきらい!」
「やった!」
「やだぁ~すきぃ~」
「ッやっめろ、ひっつくな! シャツのびるって!」
ぎゅ、と千歳がシャツをくっちゃくちゃににぎりしめて泣きついてくる。けど、次の瞬間、俺のリュックの傘を目ざとくみつけて「これ……」と手をのばして真顔になった。嘘泣きじゃねーか。
右ななめの子の傘。めちゃくちゃかわいい系の柄とかではないと思うけど、たしかに一目みたら女子の傘だとわかると思う。ていうか、千歳なら気づく。
「浅黄くんにオンナのカゲが!」とか言ってとっととあきらめろ!