二日酔いにならないというのが自慢だった。料理と合わせて、しっかりその夜をお酒と楽しんでも翌日に響かないこと。そして二日酔いになる前に切り上げるのがかっこいいと思っていた。いい女は、つぶれない。お酒をおいしく味わって、楽しんで、それで締めくくる。決してぐずついたり、引きずったりせず、翌朝は笑顔で登場する。そのためにも、どんなにお酒を飲んでも食器を全部片づけて、歯磨きのフロスまで完璧にしてベッドに入る。それが自分のスタイルのはずだった。
しかし、いつからか今までと同じ量を飲むと二日酔いになるようになった。眠っていても目を覚まして胃薬を飲んだり、翌朝もまだお酒が残っているような思考回路だったり、とにかくカッコ悪いとしか言いようがなかった。年齢による衰えもあっただろう。悲しいけれど、私はアルコールに弱くなったのだ。
そして飲み方を考えるようになり、量を減らして翌日を気にしながらグラスを傾ける夜が続く。健康のことを思えば正しい選択だろう。しかし、もともとお酒には比較的強いほうなためか、ちょっと控えめにすれば、飲んだ気がしない。飲んでも飲まなくても変わらない…なんて、それではお酒を飲む意味がないではないか。
そしてやっぱりたまに飲みすぎることになる。
明け方に目を覚まして胃薬を飲み、ぼんやりとした頭のまま半日ほど無駄に過ごす。ベッドの中で水を飲みながら、頭を抱えつつ前夜口にしたアルコールの種類と量を振り返りながら、だるいからだを横たえたまま、多少の反省とともに窓の外の陽ざしに目を細めながら思う。
それでも、このくらいやらないと人間やっていてつまらない、と。