夜を照らす月影のように#9

メルさんが杖を掲げると、杖先から光線がいくつか飛んでいく。オズワルドさんと先生に向かって。

ドォン、と音がして煙が舞った。

メルさんが、また呪文を唱え出す。リオンさんが、メルさんの方を掴んだ。

「メル！何を考えているんだ」

「……僕の指示で、攻撃をしてもらった」

いつの間にか先生が私たちの近くにいて、リオンさんは「ノワール！？」と驚いた声を出す。

「……あのさぁ……ノワール。いきなり、『僕を攻撃しろ』なんて言うなよ……先に、『相手を混乱させて、その隙に逃げる』って説明しろ！」

メルさんの言葉に、先生は「ごめん」と謝った。

さっきの会話は、メルさんに先生が指示を出していたようだ。

「……説教なら、後で聞く。まずは、オズワルドさんを何とかしないとね」

先生は、そう言って剣を構える。

煙が晴れて、オズワルドさんが姿を現した。