夜を照らす月影のように#9

「……オズワルド、さん……」

リオンさんは、複雑そうな表情でオズワルドさんを見つめている。

「オズワルドさん。ノワールを返してください」

メルさんの言葉に、オズワルドさんは「嫌だ」と即答をした。

その時、先生は目を覚ましたのか体を起こす。先生はすぐに状況を理解したのか、立ち上がってこっちに来ようとする。

「おっと……行かせないぞ」

先生に手に持っていた剣を突き付けて、先生の動きを止めた。

「…………メル!」

少し間が空いて、先生はメルさんの名前を呼ぶ。

「――!――――!!」

かと思えば、私たちが聞いたことのない言語で何かを叫んだ。

近くから「えっ」という声が聞こえてきて、私たちは声がした方を見る。

そこにいたのはメルさんで、メルさんは目を見開いていた。

「――!!――!!」

メルさんも、私たちが聞いたことのない言語で何かを叫ぶ。

……もしかして、この言語……先生とメルさんが前世で使っていたという……。

「――――!!」

先生の方を見ると、先生は真剣にメルさんを見つめていた。メルさんは、大きくため息をつく。

「……――!」

「おい、メル。何をする気だ?」

そんな声が聞こえてきて、私はもう一度メルさんの方を見た。

メルさんは、杖を構えている。そして、呪文を唱えた。