「エリカ!」
誰かの走る足音と私の名前を呼ぶ声に、私は声がした方を見る。
私の幼なじみのシャルロットとネクロマンサーのカズさんが、私に向かって走ってきていた。
「シャルロットにカズさん」
私が2人の名前を呼ぶと、2人は私の前で立ち止まる。
「良かった……2人とも、無事だったんだね」
私が微笑むと、シャルロットは「エリカに会えて、良かったです」と安心したように笑った。
「……後は、リオンさん、メルキュールさん、ノワールさんと合流するだけですね。どこに行ったんでしょうか……」
シャルロットの口から出た名前に、私の憧れのノワール先生と詩人のメルキュールさんがさっき話してくれた内容を思い出す。
「皆っ!!」
リオンさんの声が聞こえて、私たちは同時に声がした方を見た。
メルさんとリオンさんが走ってくるのが、見える。
私たちの近くで、2人は立ち止まった。
リオンさんが平気しそうにしている横で、メルさんは肩で息をしている。
「……メル、大丈夫か?」
「……リオンがおかしいだけだよ。体力おばけめ」
メルさんは、そう言いながら地面に座り込んだ。大分苦しそうだ。
「走らせて悪かったって……じゃなくって!」
リオンさんはそう言って、私たちを見つめる。
「ノワールが、オズワルドさんに連れ去られたんだ」
リオンさんの言葉に、私は驚いた。



