夜を照らす月影のように#9




「エリカ!」

誰かの走る足音と私の名前を呼ぶ声に、私は声がした方を見る。

私の幼なじみのシャルロットとネクロマンサーのカズさんが、私に向かって走ってきていた。

「シャルロットにカズさん」

私が2人の名前を呼ぶと、2人は私の前で立ち止まる。

「良かった……2人とも、無事だったんだね」

私が微笑むと、シャルロットは「エリカに会えて、良かったです」と安心したように笑った。

「……後は、リオンさん、メルキュールさん、ノワールさんと合流するだけですね。どこに行ったんでしょうか……」

シャルロットの口から出た名前に、私の憧れのノワール先生と詩人のメルキュールさんがさっき話してくれた内容を思い出す。

「皆っ!!」

リオンさんの声が聞こえて、私たちは同時に声がした方を見た。

メルさんとリオンさんが走ってくるのが、見える。

私たちの近くで、2人は立ち止まった。

リオンさんが平気しそうにしている横で、メルさんは肩で息をしている。

「……メル、大丈夫か?」

「……リオンがおかしいだけだよ。体力おばけめ」

メルさんは、そう言いながら地面に座り込んだ。大分苦しそうだ。

「走らせて悪かったって……じゃなくって!」

リオンさんはそう言って、私たちを見つめる。

「ノワールが、オズワルドさんに連れ去られたんだ」

リオンさんの言葉に、私は驚いた。