夜を照らす月影のように#9

「……えっと……さっき、メルが見てた家……あるでしょ?」

ノワールが、言いづらそうに話し出した。それを、僕が遮る。

「……あの家、僕の実家なんだ。見た途端、一気に前世での嫌な記憶を思い出してしまって……」

「……そっか……」

僕がそう言うと、リオンは一瞬驚いた表情をした後、心配そうに僕を見た。

「でも、大丈夫。もう、あの家は僕の家じゃないし、今はノワールたちがいてくれるから」

涙を拭って、僕はリオンに向かって微笑んだ。