「ティアラ嬢、ランチを一緒にしても?」

「・・・はい」

殿下の誘いにも、ろくに答えられないまま、殿下についていく。

・・・眠い。

昨日寝られなかった。

食欲もないし、昨日の夜からなにも食べていないけど、まあいいか。

「体調がすぐれないようだけど、大丈夫?」

「ご心配いただけるなんて、光栄です」

どうにか甘えボイスで言おうとしていたセリフは、思いっきり棒読み。

殿下がどんな顔をしているのか確かめたいが、顔を上げるのが疲れる。

椅子に座る。

殿下は私に問うた。

「何食べる?」

「・・・水」

頭もくらくらしてきたなあ・・・

これはかなりやばいかもしれない。

私、睡眠取らないと駄目な体質だったっぽい。

さては、午前にあった数学の授業を頑張りすぎたのが原因か。

眩暈までしてきた・・・

保健室に行こうと思って、立ち上がる。

でも、気づくのが遅かった。

目の前が定まらない。

足が軽くなるような気分に陥った。

「ティアラ嬢!」

その声を聞いて、私は、気を失ってしまった。



「目が覚めた?」

私はゆっくりと目を開けた。

窓からは夕日が差し込んでいた。

いや、夕日がほとんど沈んだ感じだった。

「・・・ありがと、ございす・・・」

まだ頭はずきずきするが、少しは良くなった。多分。

殿下の手を借りて上半身を起き上がらせる。

「・・・寝不足、ですので・・・」

情けない私の原因を言うと、殿下は不安そうにこちらを見る。

「寝不足でこんなになる?」

・・・さあ。

「家まで送るよ」

「ありが、と、ございます・・・」

なんとかお礼を言って立ち上がる。

でも、力は入らなくてすぐに崩れ落ちた。

殿下が抱き留めてくれたが、私、かなりおかしくなっているっぽい。

記憶が頭の中で渦巻いている感じがして、頭の中から悲鳴が聞こえた。

「・・・病院に行こうか。」

まさか精神科?

聞くわけにもいかず、私は病人のように運ばれた。