「・・・よっし」

気合を入れて、今日から学校。

私、ティアラ・ベルデース。13歳。

私には必要のない前世の知識がある。

その中の割合がなぜかもっとも高い乙女ゲーム。

その、モテモテ溺愛対象の、ヒロインに転生してしまった・・・

ま、まあ、いいさ。

今までの人生、充実してなかったし・・・なによりあの人が問題で・・・って、この話は今関係ないか。

とりま私は殿下から逃げたい。

なんでかは気が向いたら話すことにしよう。

で、殿下から逃げる方法・・・簡単だ。

異世界系の話を多く読んでる人なら、分かるであろう。

肉食、ぶりっ子のなヒロインは嫌われる。

別にこれは、ハーレムとか、そういうやつではないから、殿下のみがターゲットなのだ。

どっぷりアピールして、嫌われれば、よくない?

まだ婚約者候補としてしか、私の名前は載ってない。

よし、頑張ろう。


そして始まった。

単純ヒロインは、腹黒王子をだませるのだろうか・・・・?



「やあ、君は確かティアラ・ベルデース嬢だね」

ひええええ、昼食の時間、早速つかまりました・・・

食堂のど真ん中、私と殿下がつっ立っている。

・・・目立つなあ、この人。

さすがこの国の王子、ウィーク・ダウン・ネルス。

顔面偏差値多分満点。

身長も、高いし、かっこいい。

画面で見るよりもよっぽどカッコよかった。

ヒロインはたしかここで、殿下に惚れて、頑張るんだけど、あとから転入してくる悪役にいじめられてしまう。

・・・この美貌に惹かれるのは気持ちだけわかる。

ただ、私としては同じ道をたどりたくなかった。

理由は、えと・・・いろいろあって。

まず、側妃を何人も持つような人とは当たり前だけど付き合いたくない。

あと、悪役のいじめが単純に怖い。

ゲームではかっこよく守ってくれるだろうけど、やっぱりゲーム通り進むわけのない現実。

その時ぴったり殿下が現れるとは考えられない。

それ以外にも、ざっくり言って男嫌いが若干残っている・・・んだな。あはは。

あと、ひどいことに、シナリオとかわかるのに、イベントと悪役にいじめられることについての情報がごっそり抜かれている。

どういうことだ。

抜いたやつ出てこい!!

他にもいろいろあるけど、めんどいからとりあえず挨拶。

「はいっ♡ ティアラと申しますっ!ウィーク様、もしよければ私とお昼をご一緒してもらえません?」

ずい、っと前に出て気持ち悪いセリフを並べる。

周りの人は引いてたし、殿下は苦笑いをする。

「ありがとう。でも今日は友達と約束をしているんだ」

ナイス!

「そうですか・・・今度必ず、ご一緒させてくださいね?」

こてんと首をかしげると、殿下はニコリと言う。
「覚えておくよ。それじゃ」

さようなら~!


単純ヒロインは、殿下が振り返ってることも知らず、小さくガッツポーズをしていた。