あの夏の君

「そういえば麗ちゃん、好きなものって
ある?」

「何?急に」

「ほら、もうちょっとで、たんじょーび?
って言ってたじゃん。だから」

誕生日は、プレゼントを贈る。その話をした
のは、私だ。

「海が好き。どこまで言っても終わりのない
海が好き。可能性は無限にあるよって
教えてくれてる感じがするの」

にこりと笑って、そう言った。

「そっかぁ。じゃあ、これからやる事、
誰にも内緒ね」

どこから出したのか、碧の手には小瓶が
握られている。
立ち上がって、手を海の方にかざした。
すると、海が急に波打ち、小瓶の中に
少量、入ってゆく。
砂も海と同じように、小瓶に入っていった。
貝殻は、小瓶に入るくらいに小さくなって、
海や砂と同じように、瓶の中に入った。