放課後はキミと。



ふいに涼村くんと目が合った。


ーーーー!!


勢いよく目を背けてしまった。

あ、そらしちゃった。
感じ悪かったかな。

「紗世知ってるでしょ。あたしが涼村くん苦手なの」
「あーあんたあーゆうなんでもできるタイプとか苦手だもんねえ」
紗世はがさごそカバンをあさって、お菓子をとりだして食べ始める。
「うん。スパルタだし、性格悪いし」
「性格悪いならあんたに英語なんて教えないでしょ」
「先生と焼肉かけてんの!」
「それでも放課後毎日でしょ? ふつう、やんないよ」
「毎日じゃないよ……週3……」
「週3でも十分でしょー。しかもスパルタなんでしょ? めっちゃがんばってくれてんじゃん」
「で、でも、宿題すごくだすし!」
「あんたが英語壊滅的にできないからでしょ? 宿題でも出さなきゃ毎日やらないしじゃない?」

あ、あれ……?
なんか、雲行きが怪しい……。

涼村くんいい人説が有力になりかけてない?

「さ、さよ、なんでそんな涼村くんの肩もつの?」
「え? 顔は好きだから?」
あっけらかんという紗世につんのめりそうになる。
「そんなの聞いたことないんだけど!」
「今初めて言ったからね」
「全然わっかんない」
「かっこいいはかっこいいでしょ?」
「そ、そうだけど…」

そこらにいる男子高校生よりはもちろん整った顔をしてるんだけども…。
紗世はあたし側の人間だと思ってたのに。
あっさりとした紗世にひとつの疑問が浮かび上がる。

「もしかして、好き、とか、ないよね?」

まさか、紗世までも餌食に……。

紗世は一瞬目をパチクリさせて、次の瞬間吹き出した。

「あははっ。あれ敵に回してまで彼と付き合いたいとはならないわ。釣り合うとも思わないし」
人差し指を上下させて、くるりと指を回転させた先にはさっきの女子たち。
「あの子ら、涼村くんに一目惚れして、それからずーっとアプローチかけてるみたい。相手にされてないみたいだけどね。それをだれか奪おうものなら、どうなるかわかんないし」
からから笑う紗世とは裏腹にあたしの顔はひきつる。

やっぱり補習のこと、だれにもいわないでおこ。
我が身がかわいいあたしは、これを強く心に誓った。

「ま、りんが涼村くんに惚れたらそれはそれで面白いけどね」
「ない」
断言したあたしに、紗世は口を尖らせてつまんないなーとだけつぶやく。

「あー早くテスト終わってええ」
懸念材料がある中で学校にくるのはすごく、すんごく憂鬱だ。

そんなあたしに紗世は、元凶は自分自身でしょとありがたいお言葉をくれた。