"俺が好きなのは、卯月だよ"
"おれがすきなのは、うづきだよ"
"すきなのは、うづきだよ"
"うづきだよ" (以下エコー)
す、き?
涼村くんが、あたしを?
な、なんですと!?
まー友達としてだけどねとか
はーい残念どっきりでした! とかないですか!?
振られにきていた身としてはまさかの展開につけていけず、完全に思考が停止してしまう。
「ちゃんと聞こえた?」
涼村くんに優しくそう聞かれて、「え、と」と濁してしまう。
「聞こえなかった? もう一度いうから、ちゃんと聞いててね」
その瞬間、彼の腕が再度あたしをぎゅっと力強く抱きしめた。
「好きだよ、卯月」
ああ、本当に。
これ、夢じゃないんだ。
あたしは、この腕に、応えてもいいんだ。
また目頭が熱くなって涙をこらえながら、あたしもゆっくりとその背に腕を回した。
どくん
どくん
好き。
ただ、どうしようもなく好き。
今、この瞬間が、すごく幸せ。
ずいぶんと長い間、そうしていたように思えた。
終わりは、涼村くんから。
あたしを離して、それから手のひらが頬を撫でる。
優しく撫でているだけなのに、どこか刺激が強くて、あたしは硬直してしまった。
そっと涼村くんに視線を移すと、その瞳にいともたやすく、捕らえられてしまう。
「俺から言うね。卯月凛さん、俺と、付き合ってください」
それは、夢のような、お願いで。
「……はい、よろしく、おねがいします」
こらえていた涙がまたあふれてきて、あたしは慌てて拭おうとしたけど、涼村くんの指が拭うほうが早かった。
そしてそのまま腰に手が回ってぐいっと距離が近くなる。
どきどきしていると、涼村くんの顔がさらに近づいてきて、あたしは体を固くした。



