…………!?
「っっ」
顎を掴まれて無理やりこっちに向かされる。
にぃーっこり顔の紗世。
何逃げようとしてるの?と言いたげだ。
ちょ、さよ!
でる……! 中身が……!
「とぼけてないで教えなさいよ」
なんでそんなの知りたいのお。
口にはだせないので目で訴えながら、手をつかんでどけた。
なんとか飛び出さずにすんだおかずを飲み込んで、お茶を飲む。
「危うくでるところだったじゃん」
「……で?」
抗議なんてなんのその。
紗世はほらっさっさといいなさいといわんばかりに、話を戻してくる。
……こら、だめだ。
いうまで離してくんない。
まあいいか。紗世にならいっても。
「……補習、してるの」
「え? なんの話?」
「補習、してんのよ。涼村くんと」
卵焼きをかじりながらいうと、紗世は目を白黒して固まっていた。
「え…」
小さく声を漏らした後、
「え、ほんとに!?」
ようやく理解をしたのかつばも飛んできそうな勢いで近づいてきた。
「ちょっと大きい声ださないで!」
だれかに聞かれたら困るんだからっ!
興奮していた紗世はいったんふう。と息を吐き、
何も言わず、から揚げをつまんでもぐもぐ食べる。
「で、ほんとなの?」
ごくんと飲み込んだ後、落ち着いた様子でそういう。
「こんなうそいってどーするの」
「なんでまた? 二人で?」
「ヤツの仕業、陰謀」
「ヤツ?」
「担任」
英語の先生は担任である。
紗世はやっと合点がいったらしく、
なるほどね。と小さくつぶやいた。
「なーんだ。先生、涼村くんに補習頼んだんだあ」
「うん」
「つまんなあい。涼村くん、りんのこと好きかと思ったのにぃ」
本当にそう思ってないくせに楽しそうに笑う。
冗談でもそんなおぞましいこといわないでほしい。
「んなあほな」
「あんなガン見してたらそう思うしー」
「監視されてるの。寝てたらあとで殺される」
いい度胸してんじゃねえかあんた。
にこにこしながら腕組む涼村くんを想像しただけで背筋が冷える。
「ふぅん。そーなんだ。で、どう? 学校一のイケメンと二人で勉強してる気分は?」
「どーもなにも」
とってもスパルタです。
性格悪いし。
「はやく終わってほしい……」
「そんなこと彼のファンの前でいったら殺されるよ」
お弁当を食べ終えた紗世が片付けながら涼村くんにちらりと視線をやる。
視線につられてみると、友達と話している涼村くんがいた。
そして周りには目が明らかにハートマークな女子が数人。
相変わらず、もてもてですね。



