ああ、どうしよう。
どうしようもなく、彼が好きだ。
忘れてあきらめて。
全部、全部過去にしようと思ったのに。
報われないなら、もういいって。
そう、思ったのに。
熱くなる胸をおさえて、ぎゅっと英語のプリントを握った。
『青い春なんだから、がむしゃらに頑張ればいんじゃね?』
――そうだよね。
ただ、がむしゃらに頑張ればいいんだ。
だって、青い春なんだから。
あたしは再度職員室へと歩を進めた。
もどかしくて、早歩きになりながら。
職員室のドアを開け放ち、先生のもとにつかつか歩み寄る。
さっき帰ったはずのあたしの姿を見て、先生は驚いたような顔をしていた。
「どうした? なんかいい忘れたことでもあったか?」
「先生、さっきのテスト貸してください」
肩で息を繰り返して、真剣な目をするあたしに、怪訝な顔をする先生。
「どうして?」
「一生の頼みだと思って、お願いしますっ」
理由を言わず拝みこむあたしに、先生はふうむ。と腕を組んだ。
「普通に考えてダメに決まってるだろ」
考えたわりにあっさりと却下される。
「そこをなんとか!すぐに返すんで!」
「んー…原本はだめだ。コピーならいいぞ。ただし、夕方までに返せよ」
「あ、ありがとうございます!」
先生はコピーをしてきてくれて、その分をあたしに差し出した。
「貸しだぞ」
さりげなくなぜか貸しにされたが、手元にテストは欲しいので聞かなかったことにする。
「あと見つかったら面倒だからそれしまってさっさと出てけ」
しっしっと追い払う仕草。
あたしゃ犬かという突っ込みは急いでいるのでしないことにした。
テストをカバンにしまって、あたしはそのまま失礼しますっと職員室を飛び出した。



