ずんずん廊下を歩いていたが、冷静になってくると先ほどの点数を思い出し、やっぱり自然と頬が緩む。
嬉しい。
あんな点数、とったことないもん。
ああ、涼村くんに報告しなきゃ。
すごくお世話になったし……。
緩んだ頬は強張って、視線は自然と下に向く。
……どの面下げて言えばいいんだろう。
喧嘩したわけでもないんだから、普通に言ったらいいのはわかってるけど。
でも。
彼を前にして、普通にできる自信がない。
はあ。と息が漏れて、カバンを持ち直すと、開けっ放しのことに気が付いた。
よく忘れるんだよな、閉めるの。
ファスナーに手をかけて、一気に閉めようとした時。
不意に、プリント類を入れているクリアファイルが目に入った。
……ん? なんだろ、これ。
某有名人気キャラクターがプリントされているクリアファイルの隙間から見える、変な目と耳らしき絵。
こんなの、あったっけ?
記憶をたぐっても思いつかず、そのまま一番手前のプリントを出した。
――え?
「なにこれ……」
思わず口元を押さえて、なんで。だけがぐるぐる回る。
最後にやった、英語のテストプリント。
そこに、あたしが知らないものが追加されている。
不恰好な輪郭、不恰好な肉球。
おそらく、猫だった。
吹き出しで「ガンバレ!」と涼村くんの字。
いつの間に書いたの、これ。
『ぜひ、なにかここに書いてください。涼村画伯』
『あたしは猫が好きです』
思い出すのは、日曜日の勉強会で自分が冗談のつもりで言った言葉。
ほんとに、書いてくれたの?
「はは、ぶっさいく……」
零れ落ちる笑みと同時に、ぽとん、と涙が落ちた。



