放課後はキミと。


放課後、あたしと紗世はカフェでちょっとお茶することにした。
ここのカフェは、ボックス席になっていて、周りの音が聞こえにくいし、話しにくい話題をするには最適なのだ。

店内は午後四時すぎのカフェタイム時だったので混みあっていたが、運良くすぐに入れた。
窓際の赤色のソファ席に案内されて、向かい合って座る。
あたしはミルクティー、紗世はカフェラテを頼んで、どうでもいい世間話をしばらくしていた。

会話と会話の隙間の、不意に訪れた静寂に、あたしは本題を切り出すことにした。

「あのさ」
乾いた唇をなめて、ふうと一度息をつく。

「実はね、涼村くんのことが、好きなの」

言葉にすると、かあっと頬が熱くなる。
初めてだれかに伝えると、この気持ちがより強くなる気がした。

紗世は、一度目を見開いて、「へーえ」とにやにや口角をあげた。
「まああれは惚れちゃうよねえ。あんなに守ってくれたら」
「わかる…?」
「私も危うく惚れそうだったもん。あの顔で、紳士にあんなに守ってくれたら当事者だったら落ちるよ」
くるくるストローでカフェラテをかき回しながら、紗世は笑う。
「あれで涼村ファンが倍増したって噂だしね」
「そうだよねえ」
思わず顔を覆って、大きく息を吐く。

普通レベル男子だとしても、あんな出来事が起きたら惚れてしまうかもしれないのに。
完璧男子の涼村くんがしたというその破壊力は自身が一番よくわかっている。

「実際のとこ、どうなの? いい感じじゃないの? 付き合ってるふりしてるくらいなんだし」
ひそひそ小声で聞いてくる紗世に、頭をよぎるのは彼女の姿。
「付き合うとかは、やっぱり無理かも」
「なんで?」
「お似合いの、女の子がいて。あたしより、たぶん仲良くて」
お人形さんのように可愛い彼女を思い出すだけで、胸が締め付けられる。

蘇るのは、あの光景。

外灯に照らされた二人。
寄り添う、影。
それを見ることしか出来ない、あたし。

「それに紗世も、釣り合うとは、思えないって前にいってたでしょ? あたしも、釣り合うって思わないから」
明るくいってみても不自然なのは自分でもよくわかるほどだった。
「でもさー涼村くんがその子のこと好きっていったわけじゃないんでしょ?」
「……でもその子は、涼村くんが、好きなの」
挑発するような顔を向けたあの子は、涼村くんのことを好きだと思ってるはずだ。


涼村くんにお似合いで、

涼村くんに名前で呼ばれてる――