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大体さー、あたしと涼村くんが釣り合うわけないし。
それは今の周りの反応みても、明らかだし。
あの顔だったら、あたしなんかより、可愛い子誰でも選べるし。
むしろいまの状況が奇跡っていうか、特殊って言うか。
ああ、そういえば。
あたしは、肝心なことを忘れていた。
涼村くんは、好きな子はいないのかな?
責任感であたしの彼氏に名乗り出てくれたけど。
ほんとは好きな子いるんじゃない?
あたしばっかり甘えて、涼村くんの都合を考えてなかった。
好意に甘えすぎてるよね、あたし。
……もしかして。
好きな子いるけど、この学校じゃないとか?
だから誤解されてもいいかって思ったのかな?
虫除けにも、なるもんね。
他の学校の女の子……。
――たとえば佳耶さん、とか。
やだな。自分で考えて胸が締め付けられるなんて。
まぶたの裏に蘇るのは、昨日の二人の姿。
自分には、遠い人だと、わかっていたのに。
どこかで涼村くんにとって、近しい存在はあたしじゃないかって。
そんな淡い期待は、見事に彼女が崩してくれた。
あたしは学校以外の涼村くんのこと、何も知らないんだ。
昨日から黒い感情があたしを支配する。
気にして言い聞かして気にして言い聞かしての繰り返し。
気にしても、答えなんて見つからないのに。



